南極から移動を続けていた世界最大の氷山「A23a」に、ついに変化の兆しが現れました。科学者によると、この氷山の一部が崩落し、今後さらなる崩壊が起こる可能性があるとのこと。
氷山A23aとは?
A23aは1986年に南極の棚氷から分離し、その面積は約3,360平方キロメートル。これはロンドンの大都市圏の2倍以上に相当し、重量はなんと約1兆トンにもなります。長年にわたりほとんど崩れることなく存在していましたが、2020年からゆっくりと北上を開始しました。
崩れたのは巨大な一片、それでも氷山全体から見れば一部
1月31日、科学者たちはA23aの一部が崩落したことを確認しました。その一片は長さ約19キロメートル、面積約80平方キロメートルという巨大なものですが、氷山全体からするとごく一部にすぎません。それでも、これは氷山の崩壊が始まるサインかもしれないと専門家は指摘しています。
生態系への影響も懸念
現在、この巨大な氷山は南大西洋のサウスジョージア島へと向かって漂流中。この島はアザラシやペンギンの繁殖地として知られています。もしA23aが島周辺の浅瀬に到達すれば、野生生物の生態系に深刻な影響を与える可能性があるのです。
この崩壊は氷山全体の終わりの始まりか?
専門家によると、大きな氷山は一度崩れ始めると、そこから連鎖的に崩壊が進むケースが多いそうです。過去の例では、大きな塊が崩れると「数週間のうちに」氷山全体が崩壊したこともありました。
しかし、今回の崩落が単なる「歯が抜けかけた程度」の変化なのか、それとも本格的な崩壊の前兆なのかは、まだ分かりません。科学者たちも「すぐに崩れるのか、それとももう少し持ちこたえるのかは予測が難しい」と語っています。
A23aの今後の動向は、地球環境や気候変動の観点からも注目すべきポイント。引き続き、専門家たちの観測が続けられます。