色覚検査を小学校で受けた経験がある方も多いかもしれません。赤や緑など、同系色の中から異なる色の数字を見つけるようなテストです。しかし、現在ではほとんどの学校でこの検査は行われていません。また、「色覚異常」や「色覚障害」と呼ばれていたものも、今では「色覚多様性」と呼ばれるようになっています。
最近では、予備校などで「見えづらい」色のチョークが使われなくなったり、「色覚チョーク」という商品が登場するなど、色覚の多様性に配慮する動きが進んでいます。でも、検査をしなくなったことで何か不便があるのでしょうか？
色覚多様性とは？
色覚多様性とは、人によって色の見え方に違いがあることを指します。実際、私たちが同じ色だと思っていても、微妙に違って見えることがあるのです。これは、目の中にある「錐体細胞」という色を感じる細胞の分布が人によって異なるためです。特に赤と緑の違いが分かりにくい人が多く、このような色覚の違いを「色覚多様性」と呼びます。
呼び方の変化とその背景
以前は「色覚異常」や「色覚障害」という言葉が使われていましたが、現在は「色覚多様性」に変わりました。かつては、色覚多様性があると職業上の制約があると考えられていましたが、実際にはそうした違いが問題になるのはごく限られた状況であることが分かってきたためです。今では「異常」や「障害」という言葉を避け、個人差を尊重する「多様性」という表現が広がっています。
学校での色覚検査の変遷
昔は学校で色覚検査が行われていましたが、現在では任意の検査となっています。この検査の歴史は19世紀末に始まり、鉄道の信号に赤と緑が使われたことがきっかけでした。この時、赤と緑の区別が難しい人々がいることが判明し、学校での検査が行われるようになったのです。しかし、色覚多様性があっても、日常生活で適応できるケースが多いことが分かり、過剰な差別を避けるために21世紀に入ってから必須検査は廃止されました。
現在は、任意での検査に変わり、自分の色覚の特性を知ることで生活の困難を防ぐことが推奨されています。