最近、「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」が、去年の3倍近いペースで増加しています。この恐ろしい感染症は、手足の壊死を引き起こし、致死率が30%に及ぶこともあります。3月には韓国で日本への渡航を懸念する報道もあり、海外からも注目されています。なぜこの感染症が増加しているのでしょうか?
溶血性レンサ球菌とは?
溶血性レンサ球菌(溶連菌)は、実は私たちの皮膚にも普通に存在する細菌です。健康な状態では問題ありませんが、粘膜や傷口から体内に侵入すると炎症を引き起こし、痛みの原因になります。そして、非常にまれに「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」という深刻な状態を引き起こすことがあります。この状態が「人食いバクテリア」と呼ばれる理由です。
急増の原因は?
STSSの急増は、何か新しい細菌が現れたわけではありません。コロナ禍が落ち着き、社会での接触が増えたことで、溶連菌への感染が増加し、それによってSTSSのケースも増えていると考えられています。
日常でできる対策
STSSを予防するためには、日常生活でのちょっとした注意が重要です。例えば、けがをしたときには、傷口をすぐに石けんで洗い、治るまでは包帯や絆創膏でカバーすることが推奨されます。その際、手洗いを忘れずに行うことで、傷口に細菌が入るのを防げます。また、傷が治るまではプールや川など、細菌感染のリスクが高い場所を避けると良いでしょう。
症状が出たらすぐに受診を
けがをした後、傷口や全身に強い痛みが続く場合や、発熱、全身のだるさ、下痢などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診することを強くお勧めします。その際、最近けがをしたことを医療者に伝えると、迅速な診断につながるかもしれません。
過度に恐れる必要はありませんが、基本的な衛生対策を守り、異常を感じたら早めに対応することが大切です。日常生活での注意を心がけ、健康を守りましょう。