「あの人、ちょっと変じゃない?」
そう感じたことがあっても、本人はまったく気づいていない——そんな場面、身の回りにありませんか?
本書『自分の「異常性」に気づかない人たち』は、精神科医である著者が実際に診察室で出会った患者たちのケースを通して、「自分の異常」に気づかない人々の心理と、その背景にある病理を解き明かす一冊です。
たとえば、被害妄想が強すぎて周囲を攻撃してしまう人。妙にハイテンションすぎて場を乱す人。さらには、他人を自分の都合でふりまわすサイコパス的な人物……。こうした人々は、自分では「普通」だと思っていることが多く、治療の必要性を否定したり、まったく自覚がなかったりします。
なかには、治療を受けないまま他人に危害を加えたり、自ら命を絶ってしまう深刻なケースもあり、精神医療の課題が浮き彫りになります。
この本では、精神科医の視点から「病識」(=自分が病気であるという認識)と「否認」というテーマに深く切り込みます。医師としての葛藤や、精神医療の現場が抱える難しさにも触れながら、心の異常にどう向き合うべきかを考えさせてくれる内容です。
「もしかして、あの人……」と感じたときに読んでおきたい、現代のメンタルヘルスに鋭く切り込む一冊です。