
最近、大都市でネズミの数が増えているという研究結果が発表されました。その背景には、なんと「気候変動」が関係しているというのです。
研究チームは、アメリカやカナダ、日本、オランダの16都市で、ネズミの目撃情報や捕獲データを分析。結果、11都市でネズミの数が大幅に増加していることが判明しました。特に増加が顕著だったのは、ワシントンD.C.、ニューヨーク、トロント、アムステルダムなど。一方で、東京を含む3都市ではネズミが減少していたそうです。
では、なぜネズミが増えているのでしょうか? 研究によると、都市部の人口密度の高さや緑地の少なさも影響していますが、最大の要因は「気温の上昇」。寒さが苦手なネズミたちは、冬が暖かくなると活動できる期間が長くなり、繁殖する機会も増えるのです。
また、温暖化によって食べ物となるゴミが増えたり、においが遠くまで届いたりすることで、ネズミにとってより暮らしやすい環境になっているのも一因。結果として、都市のネズミはますます増えてしまうのです。
ネズミの増加は単なる「迷惑」では済まされません。建物の配線をかじって火災を引き起こしたり、食中毒の原因になったり、さらには深刻な感染症を広めるリスクも。アメリカではネズミによる被害額が年間約4兆円にも上ると試算されています。
では、ネズミを減らすために何ができるのでしょうか? ネズミの数が減った都市では、自治体が住民に対策を周知したり、駆除に予算を投じたりしたことが功を奏したようです。殺鼠剤に頼るのではなく、ゴミを適切に管理し、ネズミが寄りつかない環境を整えることが大切だと専門家は指摘しています。
温暖化が進む中、今後もネズミの問題は深刻化すると考えられます。大都市に住む私たちにとっても、決して他人事ではないのかもしれません。