オミクロン変異体が「人工物」である可能性を示す研究が話題になっています。本書の著者であるウイルス学者は、その塩基配列の変異を見て驚愕しました。通常なら同義置換と非同義置換はランダムに起こるものですが、オミクロンBA.1では同義置換がたった1つ、非同義置換が30も見られたのです。これは自然ではほとんど起こり得ない異常なパターンです。
さらに、著者はオミクロンBA.1が出現する前の段階で、武漢型に戻るような変異体が存在するのではないかと仮説を立て、その結果、自然界では説明のつかない事態を発見しました。
この本では、オミクロン変異体の解析を詳しく解説し、オリジナル武漢型の特異性やワクチンと超過死亡数の増加の関係についても触れています。2022年に死亡者数が前年を大幅に上回った背景を、ウイルスとワクチンの視点から読み解く一冊です。