最近の研究によると、寿命が長いことで知られる日本をはじめとした国々でも、この30年間で寿命の伸びが鈍化していることが明らかになりました。長寿国のデータを分析した結果、現時点で100歳まで生きる人の割合が大幅に増える可能性は低いという見解が示されています。特に女性では15%、男性では5%を超えることはないだろうとの予測が出ているのです。この研究結果は、アメリカの大学が主導し、科学誌に発表されました。
そもそも、20世紀には衛生状態の改善や医療技術の発展により、幼児の死亡率が劇的に減少し、その後は中高年の健康状態も大きく改善しました。そのため、10年ごとに平均3歳ほど寿命が延びていました。しかし、ここ30年の間では、寿命の伸びがその水準を大きく下回っているのです。
1990年から2019年までの約30年間におけるデータを詳しく見ると、寿命は平均で6.5歳ほど延びたものの、急速な寿命の延長は期待しにくい状況です。特に、今後画期的なアンチエイジング技術が登場しない限り、劇的な延びは望めないという指摘もあります。
理想的な長寿を達成する国を仮定し、年齢や性別ごとに世界中の死亡率データを組み合わせて計算した結果、2019年生まれの女性の平均寿命は88.68歳、男性は83.17歳でした。これを基に、100歳まで生きる確率を算出すると、女性では13.9%、男性では4.5%という結果になっています。