最近発表された報告書によると、日本国内の各地で観測された結果、里山に住む鳥の15%、そしてチョウの33%が、毎年3.5%以上のペースで減少していることがわかりました。このペースが続けば、スズメなどの身近な鳥やチョウが、絶滅危惧種に指定される可能性があるとされています。
この調査は2000年代から続けられており、全国のボランティアの協力を得て、1000ヶ所以上の地点で観測が行われています。今回の報告書では、2022年度までの調査結果がまとめられています。
特に注目されているのは、身近な鳥やチョウの減少です。スズメは年間3.6%、そして日本固有種の鳥は8.6%のペースで減少しています。さらに、特定のチョウは10.4%の減少率と深刻な状況です。これらの種は農地や湿地などの開けた場所に多く見られますが、その個体数が大幅に減っていることが明らかになっています。
この減少の背景には、地球温暖化による気温の変化や、管理がされなくなった里山の環境変化が影響していると考えられています。
また、専門家は「全国的に自然環境が大きく変わってきており、非常に深刻な状況です」と警鐘を鳴らしています。
さらに、里山以外の地域でも気候変動の影響が見られます。南方系のチョウが増えたり、温暖な気候を好む樹木が増加していることがわかっています。アカガエルの産卵日が年々早まっているほか、サンゴ礁では高水温による白化現象が頻繁に発生しています。
湿地の減少などによる環境悪化も深刻で、湿地や沿岸域に住む鳥類の個体数は10年間で半分に減少し、一部地域ではカモメ類の個体数が大幅に減少しています。
報告書をまとめた団体は、今後、生物多様性を回復するためにモニタリング体制の強化と、地域での環境保全活動に対する支援の重要性を訴えています。