家庭の食卓やランチタイムに手軽な味を提供する頼りになる「冷凍食品」。経済産業省の調査によれば、2015年から2019年にかけて、冷凍調理食品の製造品出荷額は持続的に増加傾向を見せています。そして、新型コロナウイルスの影響もあり、家庭内での冷凍食品への支出額が増えているとのことです。
便利さと課題：膨らむ袋の正体
冷凍食品は便利さが魅力ですが、冷凍庫を開けた瞬間、袋が不思議なほど膨らんでいる経験をしたことはありませんか？これには科学的な理由が存在します。冷凍庫内での温度変化が冷凍食品の袋を膨張させるのです。氷が液体に変わる過程を経ずに、水分が直接水蒸気（気体）に変わることで、袋が膨らむ現象は「昇華現象」と呼ばれます。この昇華現象は、冷凍庫の開け閉めによって庫内の温度が変動することで引き起こされます。
安全性の検証：昇華現象と冷凍食品の食べられる状態
幸いなことに、昇華現象が起きているだけの冷凍食品は安全に食べることができます。ただし、冷凍食品が腐敗しガスが発生して袋が膨らむ可能性もあるため、袋を開けた際に異臭を感じる場合は要注意です。
もう一つの注意点：冷凍焼け
冷凍食品の品質を維持するためには、マイナス18度以下の温度を保つことが大切です。しかし、温度変動によって食品中の水分が失われ、変色や食感の変化が起こる「冷凍焼け」という現象も存在します。これも、冷凍庫内での温度変動が原因です。
予防方法：冷凍庫の使い方の工夫
これらの課題を避けるためには、冷凍庫の使い方に気を配る必要があります。冷凍庫を開ける際は、迅速に取り出し、早めに閉じることが大切です。短い時間で元の温度に戻るには、実際には約10分程度かかることが調査で明らかにされています。例えばアイスクリームを選ぶ際に迷ってしまうこともあるかもしれませんが、冷凍庫を開けている時間を短縮するよう心がけましょう。
まとめ：美味しさと品質を守るために
冷凍食品の袋が膨らむ謎や変色の理由は、冷凍庫内の温度変動に起因しています。冷蔵庫や冷凍庫を使用する際は、温度の変化を最小限に抑え、食品の品質を保つために努めましょう。美味しさと安全性を確保するために、日々のちょっとした工夫が大切です。